スプールベアリングリムーバー でけた!2015/05/07 23:13

ご存知のようにAbuのベイトリールのスプールは3つのベアリングで保持されている。スプールシャフトに組み付いている真ん中のやつ(5x11x4mm)は、圧入されているスプールシャフトピンを抜かないと取れない。度々ベアリングを外してオイルリフレッシュをしたい者としては面倒くさい仕様だ。今まで何度か、バイス(万力)を使って抜き差ししたが、嫌な汗をかき心臓に良くない。もちろん、あの道具(正しくはスプールシャフトピンリムーバーと言うべきだと常々思う-まあいいか)を買えば済むことなのだが、うちにはバイスがある。10年以上前に2千円くらいで買ったバイスで、いろいろと役に立ってきてくれた。対してアレはシャフトピンを抜くのにしか使えない。そんなものに3千円を支払うことにどうしてもひっかかりが取り払えない。安直に逃げるのは容易いが、それじゃぁただの思考停止だ。なんとか工夫して自作できないものかと、しばらくあれこれ思案していた。

試しにネットで万力を検索してみた。本職用のバイスでは、口金が交換できるものがあって、アルミ製の口金を対象物に合わせて加工して使うのが当たり前なのか。ふーん、こっちは廉価品にも使える簡易型の口金アタッチメントか - マグネットでくっつけるみたいだな - マグネット...これだ! 知らず知らずのうちに3千円のアレの形状にばかり囚われていた自分に気付く。

百均をウロウロして、脳裏に浮かんだイメージに近い品が見つかった。マグネットピンというやつだ。
アクリル製のようにも見えるが、モールドで作られたヤワな透明ポリスチレン製。よーく見ると素材が中までしっかり詰まっておらず、つまみの中心軸方向に細長い1本のスが入っている。ドリルでセンターに穴を掘る構想だったが、この空洞がそのまま利用できるかもしれない。10本中3本くらいは、気泡の偏りの少ない使えるやつがあるだろう。底辺の直径は1cmほどだが、ネオジムマグネットは意外とちんけで直径5mmほど - これも却って好都合だ。大きすぎるとスプールやベアリングと干渉してしまう。

で、最初に作ってみたのがコレ。つまみの先端のボール状部分を切り落とし、スプールシャフトの丸みに沿うよう切り口に丸棒ヤスリでU字溝を掘った。底辺は、手前に来る側をマグネットぎりぎりで削ぎ落とした。
つまみセンターの気泡は底の磁石まで達しており、穴の径もちょうどシャフトピンが通る太さ。お陰でドリルでの穴繰りは不要だった。これはいいぞ。さて、ピンは最初の滑り出しが一番固い。ぐいっ、ぐいっ、ビシッ。マグネットピンのプラスチックに亀裂が! やっぱり強度不足か。次行ってみよう。策はある。今まで万力でやる時に使っていたアルミカラーにひと工夫しよう。

[用意したもの] マグネットピン以外全部ありもの。
- 1.5mm厚のアルミ板。地デジのアンテナを作って遊んだ時の切れ端。
- ゴムマグネットシール。「水漏れ修理」の宣伝で郵便受けに放り込まれていたやつ。
- アルミカラー。ミニッツレーサー(ラジコン)で昔遊んでいた時に買った外径4mm x 内径2mm x 長さ7mmのもの。
- マグネットピン 1個。
- スプールシャフトピン 1本。ALTはDeez Kitのスプールに交換してあるので、ノーマルスプールが宝箱にしまってあった。そいつから、上記のアルミカラーを両面テープで直接バイスに貼るといういつもの危なっかしいやり方で冷や汗をかきながら外した。ちなみに、今日ちょうど予備用に純正品を釣具屋に注文してきたところ。じゅうたんに落としたら一発で見失いそうなこんな棒っきれが1本200円もする。アレのメーカーが出している社外品の方が安いくらいだが、あんなイボイボのついた棒なんかイレたらイヤーンこわれちゃうー、とシャフトが悲鳴を上げそうで触手が伸びない。
- 接着剤。自分は2液性のエポキシ接着剤を使った。

[作り方]
メス側治具
1. アルミ板を適当な大きさにカットし、バイスで挟んで口金の上面に合わせて曲げて支え屋根を形成。
2. ゴムマグネットシートを適当な大きさにカットし、1の垂直面の裏側に接着剤で固定。
3. アルミカラーの先端に丸棒ヤスリでU字溝を切る。
4. 3を1に接着剤でくっつける。アルミ板やバイスがスプールやベアリングと干渉しないよう、アルミ板の手前の縁ぎりぎりに付けるのがミソ。

オス側治具(ピン押し)
1. マグネットピンのつまみを適当な長さで切り落とす。スプールシャフトピンを差し込んでみて、2.5~3mm突き出るのがベスト。
2. マグネットピンの底辺の、手前に来る側をマグネットぎりぎりで平らに削ぎ落とす。
3. マグネットピン軸の貫通気泡に、スプールシャフトピンを太い方を底にして差し込む。マグネットがウマいこと底から引っ張ってくれるので不意に抜け落ちたりはしないが、ガタがあって安定しないのでこれも接着剤で留めた。
早速使ってみると、何の問題もなく、脂汗なしに、ALTとElite 7 のスプールシャフトピンが抜け、また差し込めた。やりぃ! 分かっていると思うが、オス側治具は、ピンを抜く作業のトドメのひと押し1~2mmに使うだけだ。シャフトピンの片端がシャフトと面イチになるまではメス側治具だけでやる。それと、万力はアレよりずっとパワーがある。ワームのアタリを聴く時のように、バイスハンドルを回す手に神経を集中して、抵抗の微妙な変化を感じ取らなければいけない。くれぐれもシャフトを潰すようなことのないように。

Enjoy ;-)