スプールBBオイルはこれに決まり! ケミシンオイル2015/04/26 00:47

まずお断りしておくが、自分は今のところ淡水の釣りしかしない。ソルトでこういうメンテをするとBBがもたないのかもしれない。

ノーマルベアリングの片面のシールドを外して、パーツクリーナーで油脂をすっかり除去したところへ、ベアリングオイルを一滴か半滴垂らす。オイルを行き渡らせるため、ベアリングをピンセットに刺して指先で回す。いきなり勢いよくブン回すとドライスタートとなって軌道やボールを傷めるので、最初の約10回転はぐっとこらえて羽根で撫でるが如くそろそろと回さなければいけない。馴染んだら勢いよく、しばし、滑らかな回転を味わう。ん~気持ちいい___これはこれで一種の変態かもしれない。

ベアリングオイルは、自分は今までYTフュージョン金の雫というやつを使ってきた。よく回り、雨に降られながら釣りをしてもオイルが乳化するようなこともなく、概ね満足していた。ただ、1日釣りをしたあとピンセットに刺してもう一度回してみると、前夜ほどの気持ちいい回転はもうない。財布にも優しくない。

で、ある日、変なことを思いついた。十数年前に入手したケミチューンというエンジンオイル添加剤が、物置に残っているのを思い出したのだ。昔おんぼろのランクル40に乗っていた頃、ディーゼルオイルにこいつをドーピングして、なんとか寿命を延ばした経験がある。ギアやシリンダが摩擦を受けるに従って、金属表面に硬質の被膜が出来るというシロモノで、おんぼろ車には間違いなく効果があった。その頃たまたま、発売元の日本ジープセンターが近所だったこともあり、よく遊びに行った。ジープやミリタリービークルの世界では有名なショップらしいが、半ば解体されたカーキやオリーブドラブの厳ついクルマが敷地内にごろごろしていて、社長もスタッフも独特で、変な店だったなぁ。そういえば、ヨンマルに乗っていると、同じヨンマルとすれ違う時に「あんたも苦労してまんなー」って感じで互いに合図を送ったりするんだよなー。懐かしいなぁ。

...話がずれた。現実に戻ろう。ごくプレーンな精製油に、ケミチューンを混ぜたらどうかと思ったのだ。さっそくホームセンターへ行き、エーゼットミシンオイル:100ml入り税込み204円を買ってきた。裏書きには「精製白色スピンドル油 JISマシン10相当」と書いてある。10相当というのは粘度のことで、ホームページで再確認するとISO VG10とある。一緒に買った70円のオイル差しに小分けして揺すってみると、色といいさらさら加減といい、スコーピオン付属のオイルと瓜二つだ。金の雫に比べれば少~しだけとろみが強い。添加剤の配合はケミチューンの推奨通り、ベースオイルのだいたい10%とする。

Revoエリート7から外したBBを改めてパーツクリーナーで洗浄してから、謹製ケミシンオイルを垂らす。いつものようにピンセットの先で回してみる。惰性で回る回数は金の雫とたいして変わらない。ん?なんだか、だんだんシャー音が小さくなってきたぞ。これはいいかもしれない。4台の愛用ベイトリールのうち、アルデバランにも同じように施して、検証のため、次の週末に1日(半日)、野池でブン投げてきた。帰宅後、4台のスプールベアリングをピンセットの先で回し比べたところ、なんと見事。今まで通りのやつは、できうる限りの勢いで弾いてもベアリングの玉が見えるほどのスピードで1回転半くらいしかしなくなっているのに対して、ケミシンオイルの方はまだ玉が見えない速さで回るのだ。それどころか、クリアランスの大きいAbu純正ベアリングは、付きもののシャー音がほとんど消えているではないか。早速、あとの2台もChem-chine化せずにはいられなかった。

しかしエンジン添加剤ってのも馬鹿高いからなぁ。600ml缶で1万円もする。リール用チューニングオイルとどっちが高いんだ? 換算してみよう。ありゃりゃ?
なんと、ケミシンオイルは10mlが44.4円で出来たのだった(AZミシンオイル実売ベース計算だと36.3円)。そもそも、高いと思っていた添加剤自体ですら、高級リールオイルに比べたら単価は1/12とか1/33なのか。そりゃの雫だの錬金術だのって名前ももっともだわな。ただ、クルマ用の添加剤だから小ボトルでさえ350mlもあり、一度に6000円を出費しなければならない。ケミシンオイルが3.5リッターも出来てしまう。とはいえ、仲間と共同購入できれば、これは面白い選択肢かもしれないぞ。

なお、無段式のワンウェイクラッチ(※)に、この種の添加剤入りオイルは厳禁だ。ワンウェイクラッチは、逆転方向でのニードル(ローラー)と外輪/内輪との金属抵抗によるクサビ効果こそが命だからだ。ケミシンオイルでアンチリバースが効かなくなったらそれこそ効果の証になるが、試してみる気はアリマセン。

※ メーカーによりインスタントアンチリバース(Abu)、インフィニットアンチリバース(ダイワ)、ローラークラッチ(シマノ)などと呼称が異なる。一昔前のスピニングリールで一般的だった、1周のうち決まった位置(8箇所とか)でしかアンチリバースの効かないやつは、機械の用語では「ラチェット」と呼び、「ワンウェイクラッチ」とは構造が全く異なる。

後日追記: オイル差しに入れっぱなしのケミシンオイルを10日間ほど観察しているが、分離・沈殿・濁りなどは全く発生していない。作った時の透き通った均一な薄琥珀色のままだ。この間、スプールペアリングへの再注油はあえて控え、計4日ほど釣りに行っているが、相変わらず回転は良好。樹脂製サイドカバーにシミができるなどの副作用も見られない。ケミチューンはアルコール系ではないので初めからあまり心配はしていなかったが。

追記#2: エンジンと違って、リールのベアリングは始終油に浸かっているわけではない。実験のため5釣行再注油なしで駆使したところ、Abu Worksのベアリングだけ変な音がし出した。コーティング剤入りオイルとはいえ、グリスレスにしたBBはやはり釣行3回に1度くらいはオイルを補給してやる必要がある。AbuのBB(Abu Worksも含め)はクリアランスが大きいので、特に致命傷になりやすい。

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